エランテ週間分析: 2026年1月12日 – 1月16日
今週の注目ポイント
- 米国の物価に関する情報や国債入札の結果が、金利の見方や短期的なドルの方向性に影響を与える可能性があると考えられます。
- 株式市場と為替市場は、流動性が落ち着くにつれて、これまでのレンジ内の値動きから、マクロ経済の情報を意識した動きへと、徐々に移行していく可能性があります。
- ユーロとポンドは反応的な通貨であり続け、国内の経済情報は米国の実質金利の優位性を相殺するには至らないと見られます。
今後の展開は?
1月最初に主要なマクロ経済の情報が集中する今週は、これまでの流動性主導の値動きから、経済情報を意識したポジション形成へと移る節目になる可能性があります。 市場は、米国の実質金利が為替市場全体の重要な判断材料として意識される状況で週を迎えています。また、予想される値動きの大きさは比較的低い水準にあり、物価や消費、金利供給に予想外の変化があった場合には、その影響が強まりやすい環境にあると考えられます。
注目は米国の物価情報です。市場予想では、12月の消費者物価指数は底堅い内容が見込まれており、コア指数は前月比0.2パーセント、総合指数は前年比2.7パーセント程度とされています。この結果は、物価が落ち着きつつある一方で、金融環境を大きく緩めるほどではない現状を裏付ける可能性があります。仮に結果が予想通り、またはそれを上回った場合、短期金利は引き続き支えられ、広い意味でのドル安が進むというよりは、ドルの安定感を保つ方向に働くと考えられます。一方で、金融緩和への期待が再び高まるためには、予想を下回る結果が必要になりますが、現時点ではその可能性は高くないと見られています。
国債供給は重要な二次的要因となります。10年債と30年債の入札は、大規模な財政発行と根強いタームプレミアムを背景に実施されます。入札需要が弱ければ、長期金利が上昇し、金融環境が引き締まり、特に低利回り通貨に対するドルの下支えとなるでしょう。需要が強ければ一時的に圧力が緩和されますが、インフレの軟化と組み合わさらない限り、より広範な「より長期の高金利」の実質金利シナリオを変えることはないと考えられます。
週半ばの情報は、消費と価格決定力に集中します。小売売上高とコア小売売上高は、米国の消費者が大きく減速しているのか、単に支出を振り替えているだけなのかを試すものとなります。現在の予測では、総合小売売上高は横ばいですが、コア消費は堅調と見られています。この組み合わせは、強靭だが狭まる成長プロファイルを確認するもので、ドルの下支えとリスク選好の上限と整合的です。生産者物価指数が前月比0.3パーセント前後となれば、企業段階の物価上昇圧力が残っているとの見方が強まり、米国の中央銀行が緩和を急ぐ余地は限定的と受け止められるでしょう。
雇用に関する情報は、今週は市場の方向を決定づける材料というよりも、これまでの見方を確認する役割が中心となりそうです。新規失業保険申請件数が20万8千件前後で推移すれば、雇用環境は減速しつつも大きく悪化していない状況と整合的です。明確な雇用面でのショックがなければ、金利市場が大きく見直される可能性は高くないと考えられます。
米国以外の地域では、経済情報が市場全体の流れを左右する力は限定的と見られます。英国の月次国内総生産は弱めの結果が予想されており、ポンドが国内の景気動向よりも外部要因に左右されやすい状況が改めて意識される可能性があります。ドイツの消費者物価指数は前月から横ばいと見込まれており、物価の落ち着きを確認する内容となりそうですが、米国の実質金利が高い水準にある間は、ユーロが相対的に強くなる理由は限られていると考えられます。
まとめると、今週はインフレの信頼性、金利供給、消費の強靭性が成長見出しよりも重要な週となりそうです。インフレが粘着的で、入札がストレスなく消化される限り、ドルは相対的な下支えを維持し、ユーロドルはレンジ圏内で下落リスクを伴い、値動きは抑えられつつも不安定さが残る展開が想定されます。
今後の経済指標・イベント(GMT+9)
2026年1月12日(月)
重要な経済指標の発表なし
2026年1月13日(火)
- 3:00 – 米国 – 10年債入札
- 22:30 – USD – コアCPI(前月比)
- 22:30 – USD – CPI(前月比)
- 22:30 – USD – CPI(前年比)
2026年1月14日(水)
- 0:00(1月15日) – USD – 新築住宅販売件数
- 3:00(1月15日) – USD – 30年債入札
- 22:30 – USD – コア小売売上高(前月比)
- 22:30 – USD – 小売売上高(前月比)
- 22:30 – USD – 生産者物価指数(前月比)
2026年1月15日(木)
- 0:00(1月16日) – USD – 中古住宅販売件数
- 0:30(1月16日) – USD – 原油在庫
- 16:00 – 英国 – GDP(前月比)
- 22:30 – USD – 新規失業保険申請件数
- 22:30 – USD – フィラデルフィア連銀製造業指数
- 22:45 – USD – S&Pグローバル製造業PMI
2026年1月16日(金)
16:00 – EUR – ドイツCPI(前月比)
マーケット分析:注目すべき主要チャート
米ドル指数(DXY)– 日足チャート

現在の市場トレンド
DXYは2025年の下落後、広い範囲で保ち合いにあり、価格は12月下旬の安値を上回って安定しています。モメンタム指標は衝動的な強さではなく緩やかな回復を示しており、トレンド反転ではなく蓄積局面を示唆しています。指数は中期的な平均水準付近で推移しており、金利による下支えと、長期的なドルへの慎重な見方との間で均衡が取れている状況といえます。
メインシナリオ
DXYが主要な需要ゾーンを上回って推移する限り、基本シナリオは緩やかな上向きの傾向を伴いながら持ち合いが続く展開が想定されます。 堅調な米国インフレと安定した入札需要は、レンジ上限のレジスタンスに向けた緩やかな上昇を下支えすると考えられ、これはドルが特別に強くなるというよりも、相対的な金利の支えによる動きと考えられます。
サポート
- 98.40〜98.60が主要サポートでありレンジ中心値
- 97.70が12月に形成された持ち合いゾーンの重要な基盤
レジスタンス
- 99.10が短期的な上値の目安で、この水準付近では上昇が鈍りやすい
- 99.80〜100.30が過去の高値に基づく主要な上値抵抗帯
代替シナリオ
物価が予想を大きく下回る結果となる、または国債入札の需要が非常に強い場合には、米ドル指数が98.40を下回り、97.70が意識され、2025年以降のより広い下落基調に再び近づく可能性があります。
ユーロドル – 日足チャート

現在の市場トレンド
ユーロドルは2025年の力強い上昇後、広い値幅での保ち合いが続いています。高値は徐々に切り下がり、安値はトレンドラインに沿って切り上がる動きとなっており、明確な方向感というよりも、エネルギーが圧縮されている状況を反映しています。勢いは落ち着いていますが、上昇基調が完全に失われた兆しは見られません。
メインシナリオ
ユーロドルが上昇する構造的サポートを上回って推移する限り、調整は修正的なものにとどまるでしょう。しかし、米国の経済情報主導の触媒がなければ、上昇の進展はレンジレジスタンス付近で停滞する可能性が高いと見られます。この通貨ペアは、ユーロ圏のファンダメンタルズよりも米国の実質金利の動きに左右されやすい状態が続いています。
サポート
- 1.1550〜1.1580がトレンドライン需要と整合する主要サポートゾーン
- 1.1420〜1.1450がより深いレンジ下限として意識される水準
レジスタンス
- 1.1680〜1.1720が最初の上値の目安
- 1.1800〜1.1830がレンジ上限で、持続的に上抜ければ新たな局面を示唆
代替シナリオ
1.1490を明確に下抜けた場合、保現在の持ち合い構造が崩れ、ドル高の流れと重なって、1.14台前半を意識する展開となる可能性があります。
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