エランテ週間分析: 2025年9月8日 – 9月12日
・今週の注目ポイント
● 米国:インフレと労働市場が政策の分岐点に
弱い雇用統計(NFP)の後、米PPI(10日)とCPI(12日)が、9月もしくは11月のFOMCでの利下げ実施時期を左右する重要指標となります。新規失業保険申請件数や10年債・30年債入札の結果も金利動向の確認材料となります。
● ECB:据え置き確実、ガイダンスが焦点
欧州中央銀行(ECB)理事会(11日)では利上げ・利下げともに動かず据え置きが予想されますが、景気減速とインフレ鈍化(HICP ≒2%)が確認される中、理事会のスタンス(ハト派・中立)がユーロ相場に影響を与えます。特にドイツCPI(12日)が控えているため、ガイダンスには市場が敏感に反応します。
● 英国:7月GDPで景気の下支えが問われる
英7月GDP(12日)では、英国経済が「緩やかな回復軌道」に乗れているかが試されます。強い結果となれば、ポンドは対クロスでの底堅さを取り戻す可能性があります。ただし、ポンド相場の方向性は米CPIに連動しやすい点に留意が必要です。
・今後の展開は?
先週の雇用統計が弱かったことを受け、FRBによる利下げ観測が再浮上しており、フェドファンド先物市場では9月または11月の25ベーシスポイントの利下げが高確率で織り込まれつつあります。今週の物価指標の内容が、その観測を裏付けるかどうかが最大の焦点です。
8月のコアCPIは前月比0.3%が予想されておりますが、この水準が続けば、直近3カ月の年率換算で3.5%程度となり、FRBとしては依然として容認しがたい水準と考えられます。一方で、0.2%に減速した場合やサービスセクターのインフレが鈍化した場合には、先週の雇用統計後に高まったハト派シナリオを市場が再評価する動きとなり、米金利は低下、ドル安、金価格の上昇、株式市場の安定といった反応が予想されます。
反対に、0.3~0.4%と強いインフレ結果が出た場合には、ドルの巻き戻しや9月の利下げが見送りとなるリスクもあり、注意が必要です。
欧州中央銀行のスタンスに注目
ECBは、インフレ率が2%近辺で安定しているものの、域内景気の弱さを背景に、今週の理事会では政策金利を据え置く見通しです。しかしながら、記者会見におけるガイダンス次第では、年内の利下げ観測が強まりやすい地合いとなっております。特に、米CPIが弱含む場合にはユーロが上昇余地を持つ一方、CPIが強めに出た場合は、ユーロの上値も限定的となる可能性があります。
通貨・クロスアセット戦略のまとめ
米国のCPIやPPIが弱い内容となれば、ドル安が進行し、ユーロドルはレンジ上限を突破する可能性があります。また、スイスフランに対してもドルは軟調推移が予想され、金は実質金利の低下を背景に買いが入りやすくなります。株式市場も安定化する展開が見込まれます。
逆に、米インフレ指標が強い場合には、ドルが再び買い戻され、ユーロドルは上値を抑えられ、ドルスイスも反発へ向かう可能性があります。こうした動きの中で、金や長期債は売られやすくなります。
週末のドイツCPIおよび英国GDPは、翌週の欧州指標の流れを占う上でも重要な材料となる見通しです。
・今後の経済指標・イベント(GMT+9)
2025年9月8日(月)
09:50 – JPY – 国内総生産(第2四半期・前期比、予想0.3%|前回0.3%)
2025年9月9日(火)
重要な経済指標の発表なし
2025年9月10日(水)
22:30 – USD – 生産者物価指数(8月・前月比、前回0.9%)
2025年9月11日(木)
24:30 – USD – 原油在庫(前回 +240万バレル)
03:00 – USD – 10年債入札(前回利回り4.26%)
22:15 – EUR – 預金ファシリティ金利(9月、予想2.0%)
22:15 – EUR – 政策金利(9月、予想2.15%)
22:30 – USD – 消費者物価指数(8月・前月比、予想0.3%)
22:30 – USD – 消費者物価指数(8月・前年比、予想2.7%)
22:30 – USD – コアCPI(8月・前月比、予想0.3%)
22:30 – USD – 新規失業保険申請件数(前回23.7万件)
22:45 – EUR – ECB記者会見
2025年9月12日(金)
03:00 – USD – 30年債入札(前回利回り4.81%)
16:00 – GBP – 国内総生産(7月・前月比、前回0.4%)
16:00 – EUR – ドイツ消費者物価指数(8月・前月比、予想0.1%|前回0.3%)
マーケット分析:注目すべき主要チャート
EUR/USD日足チャート
見通し
ユーロドルは数か月にわたる三角持ち合いの中で推移。金曜日の引け値ではWMA(34/100)(約1.165/1.161)を再び上回りました。MACDはわずかにプラスに転じ、MFIも30台前半から反発基調にあり、建設的な流れです。ただし、明確なブレイクが必要です。
主要シナリオ(強気ブレイク想定)
日足で1.1735–1.1740(三角持ち合いの上限)を上抜ければ、1.1770(127.2%拡張)、1.1815(161.8%拡張)、さらに1.1864(200%拡張)を目指す展開が想定されます。
きっかけとなるのは、米CPI/PPIの弱さやFOMC後のハト派的なトーン。
主要レベル
サポート: 1.1687(61.8%)、1.1654(WMA34/三角持ち合い中央)、1.1608–1.1607(WMA100/下限ライン)
レジスタンス: 1.1735/40、1.1770、1.1815、1.1864
代替シナリオ
1.1735で上値を抑えられ、米CPIが前月比+0.3%以上となった場合、ユーロドルは1.1687、さらに1.1650–1.1610への反落が想定されます。日足で1.1607を下回れば、売り手優勢となり1.1550が意識される展開に。
USD/CHFの日足チャート

5月からの下降トレンドラインを意識した動きが続いています。価格はWMA34/100(約0.805/0.807)を下回り、MACDも再びマイナス圏へ。MFIは約45で、モメンタムの勢いは弱まっています。
見通し
0.8018(61.8%)を下抜ければ、0.7985(直近安値)、0.7962(127.2%)、0.7932(161.8%)、最終的には0.7899(200%)がターゲットに。背景にはNFP後のドル安と落ち着いた米CPIの影響があります。
主要レベル
サポート:0.8018、0.7985、0.7962、0.7932、0.7899
レジスタンス:0.8018、0.8046–0.8070(WMA/供給帯)、0.8071(直近高値/ライン)、0.8100
代替シナリオ
米CPIが強く、金利が上昇すれば0.8046/0.8070を回復。0.807付近のトレンドラインを超えれば0.8100–0.8120を目指し、下落トレンドが一時的に遅れる可能性もあります。
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