エランテ週間分析: 2025年7月14日 – 7月18日
エランテ週間分析: 2025年7月14日 – 7月18日
今週の注目ポイント
- 米インフレ指標に注目:6月のCPIおよびPPIは、FRBの「高金利の長期維持」方針を試す重要な判断材料となります。市場は物価圧力の再燃やインフレ鈍化の兆しがあるかどうかを注視しています。
- 中国第2四半期GDP:世界的なリスク選好にとって重要な指標。予想を下回る結果となれば、世界需要の減速懸念が強まり、資源国通貨への下押し圧力につながる可能性があります。
- 欧州・英国のインフレ指標:ユーロ圏および英国のCPI発表は、EUR・GBPの今後の動向を左右する重要材料。欧州の金融政策の行方を巡る不透明感が続いています。
今後の展開は?
マクロ経済と政策の視点
今週は、インフレデータや金融当局の発言、通商問題など、複数の重要材料が市場の焦点となっています。
米国の政策見通しとインフレ動向
直近の米経済指標は総じて予想を上回っており、今週火曜・水曜に発表される6月のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)は、相場の方向を左右する主要イベントとなります。
FRBは引き続き「慎重な様子見」の姿勢を維持しており、パウエル議長は最近、関税の影響で輸入物価が押し上げられるインフレが利下げの道筋を複雑にすると警戒を示しました。
インフレ指標が予想を上回れば、利下げ開始時期の後ずれが意識され、ドル高・リスク資産売りが進行する可能性があります。一方で、指標が弱ければ、年末に向けた利下げ期待が再燃するかもしれません。
関税を巡る不透明感
アメリカ政府は中国およびEUからの輸入品に対する新たな関税を8月まで延期しましたが、マーケットは依然としてリスクに敏感です。JPモルガンやゴールドマン・サックスといった大手金融機関は、新たな関税措置が世界的にスタグフレーションを引き起こすリスクを警告しており、その場合はドル・円の上昇、資源国通貨・新興国通貨の下落が予想されます。
中国の成長見通し
第2四半期GDPは、内需の減退と輸出の減速が反映されると見られています。予想を下回る結果となれば、追加の景気刺激策を求める声が高まり、リスク資産への投資意欲が低下し、豪ドルや商品相場連動通貨の上値を抑える可能性があります。
欧州・英国の動向
ユーロ圏と英国のCPIおよび英国のGDPが発表されます。欧州中央銀行とイングランド銀行はいずれも、インフレ鈍化に直面しつつも、時期尚早な利下げを避けたい意向を示しており、これがEURおよびGBPの上昇を抑制する材料となる可能性があります。
結論
市場は「待ちの姿勢」を取っており、今週のインフレデータと金融政策の発言内容が、為替、債券、商品市場の流れを決定づけると見られます。予期せぬニュースによるボラティリティの再燃には注意が必要です。
今後の経済指標・イベント(GMT+9)
2025年7月14日(月)
重要な経済指標の発表なし
2025年7月15日(火)
11:00 – CNY:中国 第2四半期GDP(前年比)(前回:5.40%)
21:30 – USD:米国 コアCPI(前月比)(6月)(予想:0.30%、前回:0.10%)
21:30 – USD:米国 コアCPI(前月比)(6月)(予想:0.30%、前回:0.10%)
21:30 – USD:米国 CPI(前月比)(6月)(予想:0.30%、前回:0.10%)
2025年7月16日(水)
15:00 – GBP:英国 CPI(前年比)(6月)(前回:3.40%)
21:30 – USD:米国 PPI(前月比)(6月)(予想:0.20%、前回:0.10%)
23:30 – USD:原油在庫(前回:+707万バレル)
2025年7月17日(木)
18:00 – EUR:ユーロ圏 CPI(前年比)(6月)(予想:2.00%、前回:2.00%)
21:30 – USD:米国 小売売上高(コア、前月比)(6月)(予想:0.30%、前回:-0.30%)
21:30 – USD:新規失業保険申請件数(前回:227K)
21:30 – USD:フィラデルフィア連銀製造業指数(7月)(前回:-4)
21:30 – USD:米国 小売売上高(前月比)(6月)(予想:0.00%、前回:-0.90%)
2025年7月18日(金)
重要な経済指標の発表なし
マーケット分析:注目すべき主要チャート
AUD/USD – 日足チャート

AUD/USDは緩やかな上昇トレンドを維持しており、現在はレンジの上限付近を試す展開。加重移動平均線とボリンジャーバンドの中央線の上で推移しており、基調としては上向きです。0.6590(6月高値・100%フィボナッチ)を上抜ければ、次は127.2%(0.6618)、161.8%(0.6655)と続く上昇余地があります。
現在のテクニカル指標の動き
・RSI:59.35 – 買われ過ぎではなく、上昇余地あり
・MACD:プラス圏で緩やかな上昇
・AO(オーサム・オシレーター):ゼロライン上で推移し、勢い強まりを示唆
主要レベル
サポート: 0.6549(61.8% Fib)、0.6485(直近安値/BB下限)
レジスタンス: 0.6589(100% Fib)、0.6618(127.2% Fib)、0.6655(161.8% Fib)
代替シナリオ
0.6590を維持できなければ、0.6549や0.6485までの押し戻しの可能性も。これは、米国指標の強さや中国GDPの下振れが引き金となる可能性があります。
XAU/USD – 日足チャート

金は広い三角持ち合いの中で推移しており、Alligatorインジケーターの移動平均線を上抜ける動きを見せています。すでにフィボナッチ61.8%(3,334)を突破しており、100%(3,365.6)および127.2%(3,388)の抵抗水準に挑んでいます。
現在のテクニカル指標の動き
・RSI:54 – 中立、買われ過ぎではない
・MACD:プラス圏、上昇モメンタム初期
・AO:マイナスながら上昇基調、反転の兆し
主要レベル
サポート: 3,334(61.8% Fib/三角形下限)、3,303(23.6% Fib)、3,283(パターンサポート)
レジスタンス: 3,366(100% Fib)、3,388(127.2% Fib)、3,417(161.8% Fib)
代替シナリオ:
ゴールドがアリゲーターおよび主要なフィボナッチ水準を上回って維持できない場合は、3,334の水準を再度試す展開、さらには3,303〜3,283付近までの下値を模索する可能性があります。特に、米国のインフレ指標が予想を上回り、ドル高が進行した場合には注意が必要です。
ファンダメンタルズの背景:
ゴールドは依然としてリスクセンチメントやインフレ、関税関連のヘッドラインを映すバロメーターとして機能しています。米中をはじめとする貿易摩擦の長期化や米国の粘着性の高いインフレ動向は、ゴールドの需要を下支えする要因となる一方で、FRBのタカ派姿勢やリスクオンの流れが強まる局面では、上値が抑えられる展開も想定されます。
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