エランテ週間分析: 2025年6月16日 – 6月20日
エランテ週間分析: 2025年6月16日 – 6月20日
・今週の注目ポイント
- 3つの中央銀行の決定:日本銀行、スイス国立銀行、イングランド銀行の政策金利発表が、世界の外国為替市場の変動性に影響を与え、主要G10通貨の動きを左右します。
- アメリカFOMCと経済見通し:FRBが水曜日に発表する最新の経済見通しと政策声明は、すべての市場にとって極めて重要なリスクイベントです。
- イギリスおよびユーロ圏のCPI:GBPとEURのインフレ指標は金融政策の見通しを左右し、次のトレンドの波を形成します。
・今後の展開は?
今週は世界の市場にとって極めて重要な1週間となり、複数の中央銀行による政策決定や影響力の大きい物価指標の発表が、さまざまな資産分野における投資家のリスクに対する姿勢を見直すきっかけとなるでしょう。
木曜日03:00発表のFOMC会合は、世界中の注目を集めます。市場では金利が4.50%で据え置かれるとの予想が優勢ですが、焦点は経済見通しの更新と声明の姿勢にあります。最近のアメリカ雇用統計は景気後退懸念を和らげたものの、インフレは依然として根強く、賃金上昇も継続しています。
金融市場では、2025年の利下げ予想が3回から2回へと下方修正されています。投資家は、連邦準備制度理事会(FRB)の各委員による政策金利の見通しを詳細に分析し、タカ派かハト派かを見極めようとしています。FRBの今後の方針次第では米国債利回りやUSDが大きく変動する可能性があり、株式市場の変動性も高まるでしょう。
水曜日15:00と18:00に発表されるイギリスとユーロ圏の消費者物価指数(CPI)も極めて重要です。イギリスのインフレ率は前年比3.5%に再加速すると予想されており、ユーロ圏は1.9%に減速すると見込まれています。イングランド銀行と欧州中央銀行はどちらも政策転換の岐路にあり、予想との乖離に市場が大きく反応する可能性があります。木曜20:00のイングランド銀行は4.25%で据え置く見通しですが、インフレが依然として目標を上回っているため、慎重な姿勢が示される可能性があります。先週の欧州中央銀行のハト派的な姿勢により、ユーロはインフレ指標が予想を下回った場合にさらに下落するリスクがあります。
火曜12:00の日本銀行、木曜16:30のスイス国立銀行の政策金利決定は、それぞれJPYとCHFの通貨に関連する取引に影響を及ぼすと見られます。スイス国立銀行は、根強く続く国内の物価上昇に対応するため、追加の利上げを検討する可能性があります。一方、日本銀行は、超緩和的な政策を継続する見通しで、植田総裁がタカ派的な意外な発言をしない限り、円は引き続き圧力を受ける展開が予想されます。
商品と株価指数の分野では、S&P 500は短期的な下落から持ち直しつつありますが、金融政策に関する動きに非常に敏感な状況が続いています。金は、米ドルの値下がりと物価上昇への備えとしての需要の高まりを受けて、過去最高値を更新しました。ブレント原油は急騰し、1年以上続いていた下向きの値動きの流れを上抜けし、再び76ドル台を目指す展開となっています。
結論
今週は、中央銀行の政策決定、影響の大きい物価指標、そして新たな経済見通しが重なり、あらゆる主要な資産の見通しが再び見直される、大きなうねりのある展開となります。特に、FOMC、イングランド銀行、スイス国立銀行の発表が重なる週の中ごろには、市場の値動きが急激に大きくなる可能性が高まります。
金、株式、国債、外国為替の通貨ペアはいずれも、今後の方向性を決定づけるような動きを見せるでしょう。不安定な値動きや、報道内容によって左右される展開を念頭に置きつつ、慎重にリスクを管理して対応することが重要です。
・今後の経済指標・イベント(GMT+9)
2025年6月16日(月)
重量な経済指標の発表なし
2025年6月17日(火)
12:00 – JPY – 日本銀行 政策金利発表
21:30 – USD – コア小売売上高(前月比)(5月)
→ 予想:0.30%
21:30 – USD – 小売売上高(前月比)(5月)
→ 予想:0.10%
2025年6月18日(水)
15:00 – GBP – CPI(前年比)(5月)
18:00 – EUR – CPI(前年比)(5月)
21:30 – USD – 新規失業保険申請件数
23:30 – USD – 原油在庫
2025年6月19日(木)
終日 – USD – 祝日
03:00 – USD – FOMC経済見通し
03:00 – USD – FOMC声明文
03:00 – USD – FRB政策金利発表
03:30 – USD – FOMC記者会見
16:30 – CHF – スイス国立銀行 政策金利発表(第2四半期)
20:00 – GBP – イングランド銀行政策金利発表(6月)
21:30 – USD – 新規失業保険申請件数
2025年6月20日(金)
21:30 – USD – フィラデルフィア連銀製造業景況指数(6月)
マーケット分析:注目すべき主要チャート
XAU/USD – 日足チャート

金は3,400ドルの壁を突破し、史上最高値を更新しました。ABCDハーモニックパターンの上方ブレイク(チャート参照)は、強い上昇モメンタムを裏付けており、終値は前回高値およびボリンジャーバンド上限を大きく上回っています。
モメンタム
RSIは60超え、MACDは上昇中。ストキャスティクスとCCIは共に買われ過ぎゾーンにあり、強い上昇を示しつつも、今後のボラティリティを示唆しています。
予測
直近の上値ターゲットは3,448ドル(フィボナッチ141.4%)、3,471ドル(161.8%)、3,513ドル(200%)。過熱による拡大で3,543ドル(227.2%)まで視野に。3,360ドル~3,319ドル付近の押し目は買いの好機と見られ、3,293ドルのサポートが重要な節目です。
見通し:
3,360ドル以上を維持する限り強気。ただしFOMCを控えて値動きが荒くなる可能性があります。
ブレント原油(BRENT)– 日足チャート

ブレント原油は1年以上続いた下落チャネルを上抜けし、現在73.40ドル付近で推移しています。モメンタム指標は買われ過ぎ領域にあります。
モメンタム
RSIは74、MACDは上昇中、ストキャスティクスは深く買われ過ぎ領域にあります。
予測
ブレイクアウト後の上値ターゲットは75.11ドル(中間抵抗)および76.62ドル(主要な水平レジスタンス)。現在のサポートは68.22ドル。買われ過ぎの指標は短期的な押し目リスクを示していますが、68.22ドルを維持する限り、バイアスは引き続き強気です。
見通し
強気。ただし急騰後の調整には警戒が必要です。
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