エランテ週間分析: 2025年12月15日 – 12月19日 

エランテ週間分析: 2025年12月15日 – 12月19日 

・今週の注目ポイント  

  1. 米国:いわゆる「経済指標の一括放出」となる週。市場は数値そのものだけでなく、情報ギャップを取引します。 
    連邦政府のシャットダウンにより通常の経済指標の発表が乱れたため、主要な米国の経済指標は年末に向けて、より短い期間に集中して公表される形となっています。これによりリスクが短い時間に集中し通常よりも速いペースで、ひとつの見出しが短期金利の見通し全体、ひいては米ドルや株式の期間構成に影響を及ぼす可能性があります。 
  1. 欧州:ECB(欧州中央銀行)が金利を当面据え置く姿勢を示していることを受け、EUR/USDにおいてインフレ指標が再び主導的な役割を担います。 

ユーロ圏のインフレ率は緩やかに上昇しており、ドイツの前年比インフレ率も11月に上振れが確認されました。そのため、次回のCPI(消費者物価指数)発表が重要となります。これは、月次ベースで進んできたインフレ鈍化への安心感が維持されるのか、それとも再び物価上昇の定着が意識され始めるのかを見極める材料となるためです。 

  1. 中央銀行ウィーク:BoE(イングランド銀行)+ECB(欧州中央銀行)+BoJ(日本銀行)による決定が、通貨間の評価見直しにつながる可能性があります。 

BoEの金融政策決定(英ポンド)、ECBの金融政策決定および記者会見(ユーロ)、BoJの金融政策決定(円)が同一週に重なるのは珍しく、米ドルに関する材料が少ない場合でも、国ごとの金利水準の違いを通じて為替が動く可能性があります。なお、BoEの金融政策委員会の日程およびBoJの会合日程はいずれも公式に公表されているものです。 
  

・今後の展開は?  

今週に向かうマクロ環境は、「金融緩和そのものではなく、政策に対する信頼が主題となっている」と表現するのが適切です。FRB(米連邦準備制度理事会)はすでに利下げを実施し、先行きについても慎重な姿勢を示しています。そのため市場は、今後発表される経済指標が、景気の減速が秩序立って進んでいることを裏付けるのか、それともインフレの持続性を改めて議論させる内容となるのかに、極めて敏感な状態となっています。このような環境下では、米ドルは単純な「リスク回避・選好」の動きよりも、短期金利の再評価と世界的な成長率の相対関係を軸に動きやすくなります。 
 
米国株指数については、今後発表される米国の経済指標が不透明感を和らげるのか、それとも一段と高めるのかが重要な判断材料となります。 
遅れて公表される一連の情報は、市場を上下いずれの方向にも動かす可能性があります。経済活動が堅調で、物価上昇の粘り強さが確認されれば、実質金利の上昇を通じて株式には下押し圧力がかかりやすくなります。一方、経済活動の減速と物価の落ち着きが示されれば、景気の軟着陸を前提とした長期金利低下を見込む取引が再び意識される可能性があります。このため、火曜日に予定されている一連の指標(小売売上高、非農業部門雇用者数、失業率、購買担当者景気指数)は通常以上に重要であり、1回の取引時間帯で12月から第1四半期にかけての市場の見方を大きく修正させる可能性があります。 

 
米ドルについての戦術的な見通しは比較的明確です。 
米ドル指数(DXY)の上昇は、米国の経済指標によって利下げ回数の減少、あるいは長期間の金利据え置きが市場に織り込まれない限り、持続しにくい状況にあります。FRBの利下げ後は、政策金利差による優位性が弱まっているため、そうした材料が伴わなければ、上昇は上値の重さに直面しやすくなります。一方で、情報面での不確実性が縮小する効果を軽視すべきではありません。米国の経済指標の空白が埋まり、市場の信頼感が回復すれば、金利が上昇しなくても、不確実性に備えた取引の巻き戻しが偏って進み、米ドルが安定する可能性があります。 
 
ユーロは、物価動向が「管理された物価鈍化」を確認するのか、それとも物価上昇の定着リスクを再び意識させるのかが焦点となります。 
ユーロ圏のインフレ率はすでにやや強めに推移しており、ドイツのインフレ率も11月に上振れが確認されています。そのため、再度の上振れが見られた場合、金利が据え置かれたとしても、ECB(欧州中央銀行)の姿勢は引き締まったものと受け止められやすく、対ドル以外の通貨との関係でユーロを下支えし、EUR/USDの下値を限定する方向に働く傾向があります。 
 
金については、引き続き実質金利の動きと米ドルの方向性が主要な判断材料となります。 
米国のインフレ指標(CPI、PCE)が強含み、景気の底堅さが確認されれば、実質金利の上昇を通じて金は上値の重い展開となりやすくなります。一方、労働市場の減速と物価の安定が示唆される内容であれば、金は再び買い戻されやすくなります。為替取引において重要なのは、株式市場の動きが錯綜する局面では、金が最も分かりやすいマクロ環境の判断材料となることが多い点です。単独で売買する対象としてではなく、相場判断を確認するための指標として注視することが有効です。 
 
 

・今後の経済指標・イベント(GMT+9)  
20251215日(月)  
重要な経済指標の発表なし 

20251216日(火) 
22:30 – USD – 平均時給(前月比/MoM)(11月)– 前回:0.2% 
22:30 – USD – コア小売売上高(前月比/MoM)(10月)– 予想:0.3%|前回:0.3% 22:30 – USD – 非農業部門雇用者数(NFP)(11月)– 前回:119K 
22:30 – USD – 小売売上高(前月比/MoM)(10月)– 予想:0.2%|前回:0.2% 
22:30 – USD – 失業率(11月)– 予想:4.4%|前回:4.4% 
23:45 – USD – S&Pグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)(12月)– 前回:52.2 
23:45 – USD – S&Pグローバルサービス業PMI(12月)– 前回:54.1 

20251217日(水) 
16:00 – GBP – CPI(消費者物価指数/前年比/YoY)(11月)– 前回:3.6% 
19:00 – EUR – CPI(消費者物価指数/前年比/YoY)(11月)– 予想:2.1%|前回:2.2% 

20251218日(木)  

00:30 – USD – 原油在庫量 – 前回:-1.812M 
21:00 – GBP – BoE(イングランド銀行)政策金利決定(12月)– 予想:4.00%|前回:3.75% 
22:15 – EUR – 預金ファシリティ金利(12月)– 予想:2.00%|前回:2.00% 
22:15 – EUR – ECB(欧州中央銀行)政策金利決定(12月)– 予想:2.15%|前回:2.15% 
22:30 – USD – コアCPI(前月比/MoM)(11月)– 予想:0.2% 
22:30 – USD – CPI(前月比/MoM)(11月)– 予想:0.3% 
22:30 – USD – CPI(前年比/YoY)(11月)– 予想:3.0% 
22:30 – USD – 新規失業保険申請件数 – 予想:236K 
22:30 – USD – フィラデルフィア連銀製造業指数(12月)– 予想:-1.7 
22:45 – EUR – ECB(欧州中央銀行)記者会見 

 
20251219日(金) 
12:00 – JPY – BoJ(日本銀行)政策金利決定 – 前回:0.50% 
22:30 – USD – コアPCE価格指数(前月比/MoM)(10月)– 予想:0.2% 
22:30 – USD – コアPCE価格指数(前年比/YoY)(10月) 
22:30 – USD – 中古住宅販売件数(11月)– 予想:4.10M 

マーケット分析:注目すべき主要チャート 
EUR/USD – 日足チャート 

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EUR/USDは再び前向きな上昇基調に戻り、移動平均線が示す「評価帯」を回復したうえで、上方向への拡大局面に入っています。値動きの勢いを示す指標も改善しており、 PPO(価格変動率オシレーター)は上向き、ROC(変化率)も堅調に推移しています。一方、BBW(ボリンジャーバンド幅)は、相場が圧縮された状態から拡大する段階へ移行したことを示しており、市場はもはや方向感を溜め込む段階ではなく、実際に動き出している状況です。 
 

見通し 
価格が1.1653〜1.1591の支持帯(100%水準:約1.16533、61.8%水準:約1.15912)を上回って推移している限り、下押しは反転の兆しというより、押し目として受け止められやすい状況です。ICT(インナー・サークル・トレーダー)の考え方では、この水準帯は「回復された取引レンジ」とされ、動きが本物であれば、買い需要が下支えに入る水準と考えられます。 上方向の目標は、1.17537(161.8%)、次に1.18158(200%)、さらに1.19162(261.8%)に位置しており、現在の水準は約1.17254と、すでに最初の上方目標が試されている段階です。 
 
主要レベル 

サポート:1.16975、1.16533、1.15912、1.14908 
レジスタンス:1.17537、1.18158、1.19162 
 

代替シナリオ 

日足終値ベースで1.15912を下回った場合、構造は「トレンド継続」から「ブレイク失敗」へと転換し、次の引き寄せ水準は1.14908(0%)となります。これは通常、米国のインフレ指標(CPI/PCE)のタカ派的なサプライズ、または金利支援を弱めるECB(欧州中央銀行)のハト派的な評価が必要となります。 

US30 – 日足チャート 

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US30は主要な移動平均線を上回る水準で推移しており、強い上昇基調を維持しています。現在の相場は、過去の上抜け構造を超えた拡大局面に位置しています。PPOは引き続き前向きな状態を保ち、ROCも安定していますが、注意点として、相場の循環が後半に差しかかる拡大局面では、参加者の楽観が進みやすく、経済指標による急変に対する感応度が高まる傾向があります 

見通し 

US30が49,162(127.2%)および48,424(100%)の水準帯を維持する限り、上昇基調が引き続き主流となります。この水準帯は、上抜け後の戻り確認に相当する領域であり、ここが下支えされれば、次の上値目標は50,102(161.8%)および51,140(200%)となります。 
 
主要レベル 

サポート:49,162、48,424、47,386、45,708 

レジスタンス:50,102、51,140 

代替シナリオ 

日足で48,424を明確に下回った場合、市場は「上昇基調の継続」から「分配局面に入るリスク」へと移行します。その場合、47,386(61.8%)が最初に意識される下値目安となり、CPI/PCEが上振れし、実質金利が上昇する局面では、45,708(0%)付近まで下押しが進む可能性があります。 

Erranteの週間ニュースレターでは、市場の重要な分析をお届けし、金融市場で一歩先を行くための情報を提供します。最新の市場動向を把握し、戦略的な判断を行いましょう。