エランテ週間分析: 2025年10月6日 -10月10日  

エランテ週間分析: 2025年10月6日 -10月10日  

今週の注目ポイント 

  • NFP(雇用統計)の延期とデータ空白期間 
    米国政府のシャットダウンにより、9月の非農業部門雇用者数(NFP)の発表が来週に延期されました。これにより、FRBや市場関係者にとって重要な経済情報が一時的に途絶えることになり、政策判断に不透明感が生じています。 
  • FRB要人の発言とFOMC議事要旨 
    主要な経済指標が限られているため、市場はパウエル議長をはじめとするFRB高官の発言や、水曜日に公表されるFOMC議事要旨に注目しています。これらの発表が、今後の利下げの可能性を見極める手がかりになるとみられます。 
  • RBNZの政策決定および原油/OPEC+の動向 
    ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は25ベーシスポイントの利下げを行うと見込まれています。また、OPEC+会合を前に原油価格が週次で約8%下落しており、週初のリスクセンチメントを左右する可能性があります。 

今週の展開は? 

今週の市場は、AI関連株による強い上昇モメンタム、マクロ経済データの空白、そしてワシントンからの政治的な混乱という、複雑な状況に直面しています。 
米国政府のシャットダウンは2週目に入り、9月のNFPだけでなく、CPI構成要素、消費者調査、財政関連のデータ発表も延期されています。そのため、FRBは10月の追加利下げを検討するうえで、必要な情報を十分に得られていません。 

米国10年債利回りは4.10%付近まで上昇しています。これは、シカゴ連銀のグールズビー総裁が追加緩和に慎重な姿勢を示したことが背景にあります。一方、スワップ市場では依然として0.25%の利下げを今月内に織り込んでおり、市場の期待とFRBのトーンには温度差が見られます。 

NFPが発表されないことで、FRB要人の発言に対する市場の反応は一層敏感になると予想されます。特に、水曜日のFOMC議事要旨と木曜日のパウエル議長の講演は大きな注目を集めるでしょう。発言が慎重なトーンであればドルは下支えされる可能性がありますが、ハト派的な姿勢が示されれば、リスク資産の上昇が再び強まるかもしれません。 

株式市場では、テクノロジー関連銘柄が引き続き上昇しています。ナスダック100指数は3日連続で過去最高値を更新しており、大規模なAI関連投資や投資家の買い遅れが背景にあります。ただし、雇用統計が遅れていることから、景気リスクが十分に織り込まれていない可能性があります。パウエル議長のトーンが変化した場合や、失業保険申請件数が予想より悪化した場合には、市場のボラティリティが急上昇するリスクもあります。 

外国為替市場では、ドルは依然として金利差によって支えられていますが、センチメント次第では反転する可能性があります。ユーロはドイツの貿易統計やECBの議事要旨に注目が集まっており、タカ派的な内容であれば一時的に支えとなる見込みです。ただし、全体的な方向性は依然としてドル動向に左右されます。 
ポンドは主要経済指標が少なく、マン委員とピル委員の発言が注目されます。 
カナダドルは9月の雇用統計がマイナス6.55万人と弱く、原油安も加わって軟調な展開となっています。 

金(ゴールド)は実質金利の低下や中央銀行の買い需要を背景に上昇を続けています。新たな米国データが発表されないなか、パウエル議長が慎重な姿勢を見せる場合、金価格は引き続き支えられる可能性があります。 

要約すると、今週は「マクロ経済の静寂と市場モメンタムの衝突」がテーマです。 
経済指標よりも、FRBの発言や市場ポジションの動きが相場を方向づける一週間になるでしょう。 

原油市場:OPEC+会合を前に大幅下落 

原油価格は6月以来最大の下落幅となっており、週次で約8%下落しています。 
市場では、2026年に向けて世界的な供給過剰が発生するとの見方が強まっています。ブレント原油は65ドルを下回っており、トランプ前大統領によるイラク原油輸出維持の動きや、シャットダウンによる需要懸念も弱気ムードを強めています。 

OPEC+が予想外に生産抑制を強めた場合、短期的な反発が起こる可能性はありますが、基本的な見通しとしては中期的に65ドル台半ばまで下落圧力が続くと見られます。 

結論 

来週は、マクロ経済指標が少ない中での市場モメンタムが焦点となります。 
NFP(米雇用統計)の発表が延期されたことで、FRBの発言やポジション調整の影響力が価格変動を決定づける重要な要素となります。 

  • 株式市場:テクノロジー主導の株価上昇は続く可能性がありますが、労働市場の実態とは乖離しつつあります。 
  • 為替市場:USDの強さは、パウエルFRB議長がハト派寄りの発言をした場合、弱まる可能性があります。 
  • 原油・カナダドル(CAD):OPEC+会合を控え、下方向のリスクが意識されます。 
  • EUR/CAD:テクニカル的には強い水準を維持。 
  • US100(ナスダック100):トレンドは維持されていますが、やや伸びすぎの状態です。 

今後の経済指標・イベント(GMT+9) 

10月6日(月) 

重要な経済指標の発表なし 

10月7日(火) 

重要な経済指標の発表なし 

10月8日(水) 

10:00 – NZD – RBNZ 政策金利決定 
0.25%の利下げが予想されており、今後のNZドルの方向性に影響する見込みです。 

23:30 – USD – 原油在庫統計 
OPEC+会合を控えた原油市場の急落の中で注目される指標です。 

10月9日(木) 

02:00 – USD – 10年債入札 
財政不透明感のなかで需要動向が注目されます。 

04:00 – USD – FOMC議事録 
NFP発表のない週における市場注目のイベントです。 

21:30 – USD – パウエルFRB議長発言 
データが少ない週における、今後の金融政策見通しの重要な手がかりとなります。 

21:30 – USD – 新規失業保険申請件数(9月28日週) 
NFPの代替となる、米労働市場のリアルタイム指標です。 

10月10日(金) 

02:00 – USD – 30年債入札 
政府機関閉鎖や財政赤字議論の中で、需要動向が重要視されます。 

21:30 – USD – 平均時給(前月比・9月) 
労働市場指標の一部であり、賃金動向が注目されます。 

21:30 – USD – 非農業部門雇用者数(9月) 
政府閉鎖の影響で来週に延期されました。次週の発表がより重要になります。 

21:30 – USD – 失業率(9月) 
こちらも来週に延期され、雇用統計との整合性が注目されます。 

マーケット分析注目すべき主要チャート 

EUR/CAD日足チャート 

EUR/CADは明確な上昇トレンドを維持しており、50日加重移動平均線(WMA)を上回って推移しています。 
MACDはプラス圏を維持しており、マネーフロー・インデックス(MFI)は68付近で安定した買い意欲を示しています。 

見通し 
1.6395(フィボナッチ127.2%)を明確に上抜けた場合、1.6444(161.8%)および1.6496(200%)への上昇が見込まれます。 

主要レベル 

  • レジスタンス:1.6395、1.6444、1.6496 
  • サポート:1.6358、1.6305、1.6220 

代替シナリオ 
1.6358を維持できない場合、短期的な調整が起こる可能性がありますが、1.6220を下回らない限り中期的な上昇基調は維持される見通しです。 

US100日足チャート 

米国テクノロジー株指数(US100)は強い上昇トレンドを維持しています。 
価格は上部ボリンジャーバンドに沿って推移しており、モメンタムは依然として前向きです。 
一方で、短期的なマネーフローはやや落ち着いており、一時的な持ち合いの可能性があります。 

見通し 
24,946を上抜けた場合、25,154および25,384まで上昇する可能性があります。 
24,550を上回る限り、押し目買いスタンスが優勢です。 

主要レベル 

  • レジスタンス:24,946 、25,154、25,384 
  • サポート:24,783、24,550、24,183 
     

代替シナリオ 
価格が 24,550 を下回って終値を付けた場合、上昇の勢いが弱まったサインとなり、ボリンジャーバンド中間線付近(約24,400) までの調整リスクが高まります。特に、米FRBのタカ派的発言や政府機関の閉鎖リスクが高まった場合には注意が必要です。 

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