エランテ週間分析: 2025年7月7日 – 7月11日
エランテ週間分析: 2025年7月7日 – 7月11日
・今週の注目ポイント
- FOMC議事録と雇用統計:先週発表されたNFPの予想外の結果に対する影響が注目されます。雇用者数は堅調でしたが、平均時給の伸びは鈍化しました。FOMC議事録は、今後の政策方針に関する手がかりとして注視されます。
- 中央銀行の政策決定:オーストラリア準備銀行およびニュージーランド準備銀行の政策金利決定が、世界的な「経済指標重視」への流れの中で、AUDおよびNZDの動向を左右します。
- ヨーロッパのインフレ指標とイギリスのGDP:複数のドイツCPI発表と、イギリスの月次GDPがEURおよびGBPに影響を与える見通しです。両経済とも、インフレ鈍化と成長の弱さが交錯する状況にあります。
- アメリカの関税交渉:アメリカ政府による中国およびEUへの新たな関税検討が進行中であり、通貨ペアや金価格に影響を与える可能性があります。
・今後の展開は?
マクロと政策の視点
今週は、アメリカの労働市場の複雑さが注目されます。6月のNFP(非農業部門雇用者)は、見出しとなる雇用者数は力強い伸びを示しましたが、平均時給の伸びは1年ぶりの鈍化となりました。この乖離が、FRB(連邦準備制度理事会)の政策見通しに新たな意味を与えています。
インフレが落ち着きつつある一方で、雇用は堅調に推移しており、FRBの対応は慎重かつ経済指標に依存したものになると見込まれます。これは、まもなく発表されるFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)議事録にも反映される可能性があります。
FRB政策への影響
学界および市場の見方は一致しつつあり、「賃金上昇」と「基調的なインフレ」がさらに鈍化しない限り、FRBが最初の利下げを行うのは2025年末から2026年になるという見通しが強まっています。今や「雇用が強い」というだけでは利下げの十分条件にならず、持続的な賃金の抑制傾向が焦点に移っています。
関税交渉のリスクと外国為替市場への影響
アメリカによる中国・ヨーロッパとの関税交渉が、市場における新たなリスク要因として浮上しています。関税引き上げの方向に動けば、USDが買われ、リスク回避の動きからJPYや金が上昇し、一方でAUD、CNY、EURといった資源・循環型通貨は下落する可能性があります。
逆に外交的な進展があれば、リスク資産の買い戻しにつながり、USDや金には下押し圧力となるかもしれません。
・今後の経済指標・イベント(GMT+9)
2025年7月7日(月)
重要な経済指標の発表なし
2025年7月8日(火)
13:30 – AUD:オーストラリア準備銀行 政策金利発表(予想3.60%、前回3.85%)
2025年7月9日(水)
11:00 – NZD:ニュージーランド準備銀行 政策金利発表(予想3.25%)
23:30 – USD:原油在庫(前回:+384.5万バレル)
2025年7月10日(木)
02:00 – USD:10年債入札
03:00 – USD:FOMC議事録公表
15:00 – EUR:ドイツCPI(前月比)(予想0.00%、前回0.10%)
21:30 – USD:新規失業保険申請件数(予想235K、前回233K)
2025年7月11日(金)
02:00 – USD:30年債入札
15:00 – GBP:GDP(前月比)(5月、前回-0.30%)
15:00 – EUR:ドイツCPI(前月比)(予想0.00%、前回0.10%)
マーケット分析:注目すべき主要チャート
XAU/USD – 日足チャート

金は、主要な移動平均線の上で対称三角形の中で持ち合いの状態が続いています。金価格は、FRBの発言やアメリカの経済指標、関税関連の報道に敏感に反応しやすい状況です。レンジ相場が継続しており、3,450ドルを上抜ければ強気の勢いが強まり、3,500ドルが次の目標となります。
また、貿易交渉の悪化や経済指標の弱さが確認されれば、リスク回避の動きから金が再び上昇する可能性があります。
現在のテクニカル指標の動き
・RSI:50(中立)、明確な方向感なし
・MACD:フラット(ゼロ付近)、横ばいの動き
・ストキャスティクス:上昇中で、リスク回避が強まれば反発の可能性を示唆
主要レベル
サポート: 3,275ドル(フィボナッチ23.6%、三角形下限)、3,132ドル(フィボナッチ38.2%)
レジスタンス: 3,450ドル(トレンドライン)、3,500ドル(史上最高値)
代替シナリオ
3,275ドルを下抜けた場合、3,132ドルまでの下落が視野に入ります。さらに、アメリカの利回り上昇やインフレ指標が予想を上回った場合、3,018ドルまでの下落もあり得ます。
USD/JPY – 日足チャート

USD/JPYは、三角保ち合いの中で推移しており、金融政策や世界的な経済見通しに対する不透明感を反映しています。大きな政策や関税関連の材料が出るまでは、144.40〜147.15のレンジ内での横ばいが継続する見通しです。
147.15を上抜ければ151.60を目指す展開、逆に144.36を下回れば139.88までの下落が視野に入ります。
現在のテクニカル指標の動き
・RSI:50未満(中立)
・MACD:ややマイナス(上昇の勢いが減速)
・ストキャスティクス:売られ過ぎから上昇中で、短期反発の可能性
主要レベル
サポート: 144.36(フィボナッチ23.6%、三角形下限)、139.88(重要な下値)
レジスタンス: 146.60(三角形上限)、147.15(フィボナッチ38.2%)、151.60(フィボナッチ61.8%)
代替シナリオ
リスク回避の流れが強まれば(関税引き上げや経済指標の悪化など)、円が買われ、USD/JPYは下値支持を早期に試す展開が予想されます。
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